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ぎりぎりバブル世代が令和3年『国語に関する世論調査』に感じる違和感の正体とは?

いぶかしむ少女 コミュニケーション
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令和3年度(2021年度)の「国語に関する世論調査」の結果の概要が2022年9月30日に公表されました。

主に間違いやすいとされる日本語の誤用の度合いを示す指標として、Web国語辞典に引用されることがあるこの調査。令和3年度はどんな日本語が取り上げられたのでしょうか。このページでは、特に興味深かったところをピックアップしてご紹介したいと思います。

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「国語に関する世論調査」とは?

「国語に関する世論調査」は、文化庁国語課が毎年実施しているものです。調査の趣旨は、「現在の社会状況の変化に伴う日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し、国語施策の立案に資するとともに、国民の国語に関する興味・関心を喚起する」というもの。

国語に関する世論調査の一覧ページ|文化庁

毎回「国語に対する認識」「生活の変化とコミュニケーションに関する意識」などいくつかのカテゴリに分けたアンケート結果が公表されるのですが、最も注目されるのは、間違いがちな慣用句などを取り上げる「言葉遣いに対する印象や、慣用句等の認識と使用」です。

令和3年度の調査は、郵送方式で2022年の1月から2月にかけて行われました。調査対象は全国の16歳以上の個人6000人。今回の有効回答数は3579人(約60%)です。

「ちがくて」「みたく」はアリ?なし?

「言葉遣いに対する印象」は、使う・使わないが世代で分かれそうな、比較的新しい日本語の使い方についての設問です。

令和3年度版は次の七つの言葉が取り上げられました。資料内の説明によると、「文法的に破格とされる場合があるもの等の中から、新しい使い方や意味が辞書に記載されてきたもの」とのことです。

〔 問 10:質問 〕

あなたは、ここに挙げた(1)~(7)の下線部分の言い方を使うことがありますか。 (一つずつ回答)

  1. 「そうではなくて」ということを、「ちがくて」と言う
  2. 「あの人は走るのがすごく速い」ということを、「あの人は走るのがすごい速い」と言う
  3. 「あの人みたいになりたい」ということを、「あの人みたくなりたい」と言う
  4. 「なにげなくそうした」ということを、「なにげにそうした」と言う
  5. 「中途半端でない」ということを、「半端ない」と言う
  6. 「正直なところまずい」ということを、「ぶっちゃけまずい」と言う
  7. 「実態などを分かりやすく示すこと」を、「見える化」と言う

出典:令和3年度「国語に関する世論調査」の結果について|文化庁 P.30

結果をざっくりご紹介しますと、これらを「使うことがある」と答えた人はそれぞれ次のような割合でした。

  • 「すごい(速い)」……59%
  • 「なにげに」「半端ない」「ぶっちゃけ」……40%台
  • 「見える化」「(あの人)みたく」「ちがくて」……20%台

今回初登場となる「ぶっちゃけ」「見える化」以外は以前の調査でも取り上げられていますが、いずれも前回登場時と比べて「使うことがある」の割合が増えています。

個人的には「ちがくて」の躍進が印象的です。平成12年度の調査では「ちがくて」を使うことがあると回答した人の割合は7.4%でしたが、今回調査では20.2%に増加しています。

ちなみに1970年生まれの私は、「ちがくて」「みたく」にかなり違和感があります。「なにげに」「半端ない」はふざけているとき(無理して若ぶっている感じの軽さを演出したいとき)に使うことがありますが、「ちがくて」「みたく」はさすがに無理があるという実感。「見える化」は会社で名詞化している場合に仕方なく使っています。

一方、「ぶっちゃけ」「すごい」は自然に出てきます。「ぶっちゃけ」はこの何年かの間に獲得した使用語彙です。便利です。「すごい」についてはむしろ「すごく」の方に違和感がありますが、これは方言の影響かもしれません(四国生まれ、関西在住20年以上)。

令和3年度調査の間違いやすい慣用句の意味や使い方は?

「慣用句等の認識と使用」カテゴリは、間違いやすいとされる慣用句や語彙を取り上げ、本来の意味を問うものです。

例えば「姑息」って「ひきょうな」って意味で使われがちですけどそれは誤用。本来は「その場しのぎ」って意味なんですが、本来の意味ではない方で認識しいる人が多いんですよ!というあれです。

今回、まさに「姑息」が10年ぶりに取り上げられまして、引き続き回答者の7割以上の人が「ひきょうな」という意味だと回答しています。

  • (ア)「一時しのぎ」という意味 17.4%(15.0%)
  • (イ)「ひきょうな」という意味 73.9%(70.9%)

出典:令和3年度「国語に関する世論調査」の結果について|文化庁  ※単位のパーセントと(  )は筆者が補ったもの。(  )は平成22年度(2010年度)の結果

ネタバレになってしまいますが、「姑息」はこのサイトの日本語クイズカテゴリで取り上げています。時事ネタにおける使い方も紹介していますので、ご参考ください。

「姑息」の意味とは?使い方や例文を速攻マスター
「姑息」の意味がやさしく身につく日本語クイズです。日本人なら知っておきたい「姑息」の使い方や例文を分かりやすく解説しています。日本語検定、漢字検定(漢検)、日本語能力試験(JLPT)など資格・検定対策の勉強にもおすすめ。

今回の世論調査では、「姑息」の他には次のような慣用句が取り上げられました。

  • 「揚げ足を取る」「割愛する」の本来の意味
  • 「脚光を」に続くのは「浴びる」か「集める」か
  • 「声を荒げる」の「荒げる」の読み方は「あららげる」か「あらげる」か
  • 「のべつまくなし」か「のべつくまなし」か

いかがでしょうか?「揚げ足を取る」などは間違っている人は少ないという印象なのですが、誤用が広まりそうな兆候があるかもしれません。

一方、「割愛する」や「のべつまくなし」vs「のべつくまなし」は、正しく使えているかどうか自信がないという人も多いのではないでしょうか。

気になる人は、文化庁のPDFをチェックしてみてください。間違いやすい慣用句などは、P.36以降に掲載されています。年代別の誤用の傾向なども分かって、なかなか興味深いです。

令和3年度「国語に関する世論調査」の結果について|文化庁

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