まん防でおなじみ「まん延防止等重点措置」の「まん」はなぜ平仮名なのか

まん延

インフルエンザ特措法に「まん延防止等重点措置」が新設されました。コロナウィルスによる感染症拡大防止のため、国の緊急事態宣言が出ていなくても、都道府県知事がピンポイントで飲食店の時短営業を要請できるというきまり。巷では略称「まん防」が緊張感に欠けると不人気のあれです。

しかし表記の場合、略さずに「まん延防止等重点措置」としたところで、やはりのんびりした印象はぬぐえません。おそらく「まん延」という平仮名と漢字の交ぜ書きによるものと思うのすが、「蔓延」という漢字があるにもかかわらず、なぜこのような表記になっているのでしょう。

それは、蔓延の「蔓」が法令で使える漢字ではないからです。法令では、一部の例外を除いて常用漢字表にならうとされているのですが、「蔓」は常用漢字表になく、かつ例外扱いもされていません。

法令における漢字使用等について(平成22年11月30日) – 内閣法制局

「蔓」は、植物のつるや、何かがのびること、はびこることを意味する漢字です。読みは音読みで「まん」「ばん」、訓読みの「つる」「はびこ(る)」。主な使用例は「蔓延」で、「蔓延る(はびこる)」という当て字もあります。

触手を伸ばすように感染を広げていく感染症の脅威を伝えるには、「まん延」とするより「蔓延」が適切ではないかと思うのですが、表記のルールがだめだというなら仕方がないですね。法律をつくる人が自分の好みで漢字を使ってしまっては、混乱になります。

ただ、希望もありまして、過去に交ぜ書きが気持ち悪いとされた語句の中には、常用漢字表により漢字で表記するようになったものもあります。上記の平成22年「法令における漢字使用等について」より引用します。

なお,常用漢字表により漢字で表記することとなったものとしては,次のようなものがある。
挨拶 宛先 椅子 咽喉 隠蔽 鍵 覚醒 崖
玩具 毀損 亀裂 禁錮 舷 拳銃 勾留 柵
失踪 焼酎 処方箋 腎臓 進捗 整頓 脊柱
遡及 堆積 貼付 賭博 剝奪 破綻 汎用
氾濫 膝 肘 払拭 閉塞 捕捉 補塡 哺乳類
蜜蜂 明瞭 湧出 拉致 賄賂 関わる 鑑みる
遡る 全て

「拉致」「隠蔽」「賄賂」なんかが追加されているのを見るに、使用頻度が上がることが常用漢字表入りの条件かと考えます。だとすれば、次の見直しで「蔓」が常用漢字入りし、「蔓延」もこれらの仲間に入ることも大いにありうるでしょう。

もしそうなれば、私は「まん延」表記の蔓延に悩まされずに済むことになり、快適にニュースを読むことができるようになります。ぜひ次の常用漢字の見直しで「蔓」の追加をお願いしたい次第です。

ただ、ここまで書いててふと気が付いたのですが、私は「まん延防止等重点措置」という言葉をいつまで見る気なのかと。本当は、この言葉自体を見かけなくなる日が一番なんですけどね。しかし最近のリバウンド状況を見るに、その日は遠いような気がしています。

参考資料:
常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示)
蔓 | 漢字一字 | 漢字ペディア

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