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鴻上尚史さん原稿修正問題に思う体言止めのメリット・デメリットと使用上の注意点

体言止めのイメージ コミュニケーション
この記事は約4分で読めます。

ツイッターで「体言止め」が話題となっておりますが、発端は劇作家・演出家の鴻上尚史氏の投稿。

鴻上さんが時事通信社からの依頼で「成人の日に寄せて」というテーマで文章を書いたところ、なんと修正箇所が20か所以上。「体言止めが美しい」というのが直しの理由。鴻上さんが修正を断ったところ交渉が決裂したというのが経緯。

こちらが件のツイート。画像は時事通信社によって修正される前のオリジナルの文章とのこと。

体言止めとは、文末を体言(名詞や代名詞)で終わらせるテクニック。確かに鴻上さんの元の文章には皆無。

この件についての私の感想は、だったら元より鴻上さんに頼まなければよかったのに、というもの。鴻上さんの文章で私が真っ先に連想するのはアエラドットの「ほがらか人生相談」。読み手に語り掛けるような温かみが持ち味。

よく言えばタイト、悪く言えばぶっきらぼうな印象を読み手に与える体言止めを美しいというなら、鴻上さんの起用は人選ミスだったのでは?と思う次第。

さて、この鴻上氏のツイートをきっかけに、ツイッター上で展開されたのは、文章のプロたちによる体言止めの是非についての議論や、自身のスタンスの表明。お気に入りの作家さんや出版社の人たちが体言止めをどのように扱っているか、知るのもまた一興。

ということでこの文章、ここまで体言止めでお届けしてきましたが、しんどいので元に戻します。

私自身は体言止めは使います。文章のリズムを整えるのに便利です。

ただ、「便利だけど多用すると気取っていると思われるかなあ」とか、「連続すると何やらラップの歌詞みたいになって独特の味が出てしまうよね」という思いがあるのでそこは注意しています。

記事を書くにあたって参考にしている書籍「新しい文章力の教室」にも、「『体言止めは最小限に』を合言葉に、減らしてみるトレーニングをしてみましょう」というアドバイスがあります。

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体言止めが、なぜ文末の助動詞などを省略できるかというと、省略した部分を、読み手が無意識に心の中で補完してくれているからです。省略されている言葉は何か。現在形か過去形か、常体か敬体か、能動か受動か。そういったジャッジを、読者は瞬時に脳内で演算して埋めてくれているのです。

「新しい文章力の教科書」は8月7日に発売。

出典:「新しい文章力の教室」(著:唐木元 発行:インプレス)P.137~138

以上、「Chapter4 49 体言止めは読者に負担を与える」から引用させていただきました。なるほど、体言止めは読者の頭に負荷をかけるんですね。

この節に書かれている体言止めのメリット・デメリットを私なりにまとめますと下記のようになります。

体言止めのメリット

  • 文字数が減って文章がタイトになる
  • 文末にバリエーションを与えてくれる
  • リズムを整える効果がある

体言止めのデメリット

  • ぶっきらぼうな印象を与える
  • 読者を疲れさせる

スピード感と読者に対する親切さのバランス、そして書き手のキャラクターによっても、体言止めを使うか使わないか、使うとしてどのぐらい使うかが決まってきそうですね。

私自身は、体言止めが「便利」というのは、そうでない文が連続するときに冗長になってしまうのを避けられるという、いわば「逃げ」という自覚があります。

前述の本「新しい文章力の教室」によると、文章の腕前が上がってくると、体言止めに依存しなくてもスピード感の調節ができ、文末のバリエーションも確保できるとのことなので、アドバイスに従って減らしてみるトレーニングをしてみようかと思う次第です。

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