コロナ禍は「絶好の契機」?加藤官房長官の改憲推進をめぐる発言に感じる日本語としての違和感

絶好の契機
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今回で13記事目となる「ニュースな日本語」。当初は、こんなカテゴリを作ってみたはいいけれど、コンスタントにネタが集まるのだろうか?という不安がありました。しかし最近、PCを開いてみると、主に政府や国会議員の皆さんによる何かしらの失言、物議を醸す発言の数々が目に飛び込んできます。

果たしてこの事態、喜ぶべきなのか悲しむべきなのか?

ということで、本日のお題は「絶好の契機」です。6月11日、改正国民投票法が国会で成立した後の記者会見で、加藤官房長官が、憲法改正推進にあたって、コロナ禍=「絶好の契機」であるかのように発言したとして物議をかもしています。

「新型コロナウイルスによる未曽有の事態を全国民が経験し、緊急事態に対する関心が高まっている。議論を提起し進める絶好の契機だ」

加藤氏、コロナで「改憲の議論進める絶好の契機」 直後に説明 | 毎日新聞

最初読んだときの感想は、「この人たち、ダダ漏れにも程がある…」でした。この前、自民の下村政調会長が「コロナのピンチをチャンスに」発言で叩かれたのに、もう忘れたのでしょうか。

それとも、これから一気に加速するであろう憲法改正の中身から国民の意識を逸らそうとしているとか?

個人的には、政策のよしあしはともあれ、国の中枢にいる人は、後者のような慎重さと悪賢さを持ち合わせていてほしいと思っています。でないと、他国や悪い企業にいいようにやられてしまうのではないかと不安だからですが、さて、官房長官の真意やいかに。

ところで、この「絶好の契機」発言、日本語としても違和感を覚えるのですが、皆さんいかがでしょう。私は、ここまでこの記事を入力していて、さっきから何度も「絶好の機会」と打ち間違えています。

Googleで「絶好の契機」「絶好の機会」を検索してヒットした件数です(2021年6月12日 午前8時現在)。

絶好の契機 約 239,000 件
絶好の機会 約 4,630,000 件

どうやら「絶好の契機」は、あまりポピュラーではない言い回しのようで、現在、検索結果上位のほとんどを関連のニュースが席捲しています。

そして、上位50件のうち、官房長官発言の関連ニュースが24件で、他に「絶好の契機」というフレーズがそのまま使われていたページは5件。残りは「絶好」「絶好の機会」と「契機」が独立した語として含まれているページでした。

「絶好の機会」と「契機」が含まれているページの例はこちら。

「2008年日本サミット」の開催は、諸外国との本格的な交流開始と日本近代化の根拠となった「安政の5カ国条約」締結から150年を経て、我が国が、新たな国際関係構築の契機をつくり、国際社会における存在感を改めて示す絶好の機会です。

北海道洞爺湖サミット – 開催地/横浜 セールスポイント

「絶好の機会」を検索すると、辞書サイト、言葉の意味を解説するサイトが上位1ページ目にひしめいており、慣用句的に用いられていることが分かります。辞書の中には、「機会」の用例として「絶好の機会」を収録しているものもあるようですね。

デジタル大辞泉「機会」の解説
(中略)
き‐かい〔‐クワイ〕【機会】
事をするのに最も都合のよい時機。ちょうどよい折。チャンス。「抜け出す機会をうかがう」「絶好の機会を逃す」

コトバンク-機会

「契機」の辞書的な意味からしても、「絶好の契機」はしっくり来ないというのが、今のところの感想でしょうか。「絶好のきっかけ」「絶好の動機」と言い換えると、さらに違和感があります。

デジタル大辞泉「契機」の解説
けい‐き【契機】
1 きっかけ。動機。「失敗を契機に体制を立て直す」

コトバンク-契機

ということで、「絶好の契機」は誤用であるとまでは言いませんが、自分が使用することはないだろうという結論に至りました。また、今後もこの言い回しがメジャーになることなく、今回の発言が、代表的な使用例として現政権と官房長官の名とともに記憶されんことを願う次第です。

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